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人間の命がかかっている場合には、軟骨中に血管造成を抑える物質があり、それが腫瘍の増殖や転移を抑えるのに役立つということだけわかれば、それで十分ではないか。
鮫の軟骨という自然な物質を、人間が大昔から食べ続けてきているということを知るだけで十分ではないのか。 ガンという言葉を口にするのも控えがちになる人類にとって、もっとも難敵であるこの病気に対して、鮫の軟骨を応用するまでにこれから先まだ何年も待たねばならない理由などいったいあるのか。

このような臨床とは別の研究路線のなかで、D博士の血管造成がなければ転移なしという考えを証明した研究が、『M』(1991年1月3日号)に発表された。 F博士も含めたW博士ら4人の医師チームが行なった研究で、顕微鏡で調べたところ、転移は腫蕩の増殖と同様に血管造成しだいだということがわかったのだ。
W博士らが乳ガンを病んだ細胞部分の血管造成の状況を直接的に測定したところ、それは転移のあるなしと関連していた。 この発見は、それがなぜそうなのかという理由の解明とは別に、それ自体で有益な発見だといえよう。
実験的研究からは、子宮頚管、勝耽、乳房でガンができるうえで、血管造成の段階と同時に、その前段階が存在することも証明されている。 血管造成の前段階では腫瘍は小さく、次いで腫瘍が急速に成長し、出血も起き血管造成段階を特徴づける。
W博士らの研究は、血管造成の少ない腫瘍は多い腫瘍より転移が起きる率の低いことも確かめている。 乳ガンの場合、この証拠はとくに重要だ。
以前から知られているように、乳ガンは腫瘍がごく小さいうちにすでに転移を始めるからである。 ごく初期の検査でも、本当の命取りである転移を予防するには遅すぎるものなのだ。
以上のようなことに照らしてみると、血管造成や転移を防ぐ鮫の軟骨の働きは、乳ガンの予防のうえでもきわめて重要である。 30人の転移した者と19人の転移のない者などからなる41人の乳ガン患者を調べたW博士の調査でも、血管造成の状況と転移が比例していた。
切除した腫蕩組織を顕微鏡で調べた結果、血管造成の状況と転移が比例していることがわかったのだった。 加えて博士らは、毛細血管や細動脈といった細かい血管の密度が、転移と相関していることも明らかにした。
言葉を換えると、こういう血管の数が増えれば転移の可能性も高くなるということである。 ある単位面積内に血管が33本以下だと転移率はわずか14パーセントなのに、34〜67本では45パーセント、68〜100本では71パーセント、100本を超えると100パーセントとなっていた。

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